ドメスティック・バイオレンス(DV)の被害に遭うのは、さまざまな意味で弱い立場の女性であると思い込んでいた。実は、男性も妻や親しいはずの家族から「バイオレンス」を受けている。

DVは、顔に青あざができるような仕打ちだけではない。心の傷に塩を塗るような言葉や存在を無視する態度。そういえば、と何かを思い出す男性も多いのでないだろうか。

 

被害の経験があるのは、女性の3人に1人に対し、男性は4人に1人だった。川崎市男女共同参画センターが市民1100人に聞いた結果である。男性の被害者がそんなに、と驚いたのは私だけだろうか。認識不足を反省した。

たった一人で悩んだり、痛みの由来がDVであると気づかなかったり。〝被害仲間〟の多さを知れば、心が少し軽くなることもあるだろう。

 

DVと聞けば、まず身体的や精神的な暴力が思い浮かぶ。いまどきは「友人関係を制限する」「行動を細かくチェックする」「デート費用をいつも負担させる」といった行為もDVに当たるという。「それならば」と、被害ありに○を付ける男性が増えそうだ。

 

被害を誰にも相談しないのが男性の特徴である。男らしさの呪縛、恥ずかしさなどから、男性の4人に3人は一人悶々としている。

仕事帰りに男性4人で居酒屋のテーブルを囲めば、確率的には1人はDV被害者になる。でも、酔いが回って「実は女房から暴力を受けていて」なんて打ち明けられた経験はない。

 

DVの痛みに強弱はある。それが受忍限度内か、地獄なのかは分かりにくい。

男意識をかなり捨て去ったと自認する私だが、まだ心に鎧を着用していることを折々感じている。

「男もつらいよ」と語り合える飲み友だちを大切にしたい。