「以前は、一日に5~6本のペースでニュースリリースを記事にしていましたが、いまはほとんど書いていません」と語るのは、IT記者歴10年のH氏である。記者説明会に出席した日には、一日で10本前後の原稿を書き上げるという忙しさだ。

 

何故、ニュースリリースを記事化しなくなったのか。

 

「ニュースリリースを要約して書くのであれば、ニュースリリースの配信サイトには勝てないと思っています。だったら、やらないほうがいい、と感じていました。ニュースリリースを記事にするのはまったく意味がない、とは断言しませんが、やはり直に取材し、聞いてみないとわからないものが多いですね」。

 

企業の広報担当者やPR代理店から、ニュースリリースに関わる電話が入るのも煩わしいと言う。多いときには一週間に40~50件の電話がくるそうだ。確かにうんざりである。

そんなH氏が企業の広報担当者にこうアドバイスする。

 

「メディアを訪問して直接、記者や編集者にブリーフィングしたほうがいい。製品や技術のことを説明したいのもわかるが、ITはあくまで道具なので、社会的な価値や意味合を訴求すべきです」。

 

多くの広報担当者は、配信したニュースリリースが記事化されるとは安易には思っていない。かといって、メディアへの個別訪問はあまりにも時間がかかりすぎる。仕事とはいえ、人によっては億劫に感じる担当者もいる。

 

では、少しでもニュースリリースを魅力的に見せるにはどうすべきか。

 

H氏はこんなアイデアを話す。

 

「新製品や新サービスであれば当然、利用者はまだいないはずです。であれば、実証試験やデータ結果などを示し、社会への貢献度、BtoCであれば日々の暮らしにどう役立つか、BtoBであればいかに日々の仕事に有益か、などを説明すればいい」。

 

この手のニュースリリースもゼロではないが、非常に少ないと指摘する。

 

一方、メディアへの訪問を好意的にみない記者もいる。

 

「広報担当者の気持ちもわかるが、私自身はニューへスリリースを見て、関心があれば問い合せたり取材をするほうです。仮に直接、説明を聞いても、あまり興味がもてないものだと、お互い時間の無駄になる」。

 

でばとうすべきか。

 

「記者に、好みのテーマや関心のある分野を、単刀直入に聞いてしまえばいい。聞き出した情報をベースに、記者の意図にあった素材を社内の関連部署に問い合わせ、それ纏めて、記者に投げかける」。H氏の私見である。