「週刊誌というと、たくさん嘘が書いてあり、怖いというイメージをもたれています」と、週刊誌の元副編集長のM氏が言う。

 

嘘と怖いをあわせもつ週刊誌にとって重要なのが、電車の中吊り広告や新聞広告のタイトルである。このタイトル、どんなふうに作られるのか。

 

「最終的には編集長が決めます。恐らく、どの週刊誌も同じでしょう。そういう文化と思ってもらえばいいです。私が所属していた編集部を例にとると、担当記者とデスクで見出しを作ります。それをデスクが編集長に説明。編集長は理解したとはいえ、まともなタイトルをつけたところで読者は興味を抱かない、となり、次第に過激になっていきます」と、M氏が大まかな流れを話す。

 

極端な話、記事が一行も書かれていないうちに、タイトルだけが先行して決まることもままあるとのことだ。その場合、記事はどう書き上げるのか。

 

「派手なタイトルがつくと、記事の中身もタイトルに従わざるをえない。かといって、大幅に内容を変更できないので、形容詞などを多用して、辻褄を合わせます」。これが結構、大変な作業のようだ。

 

読者受けを狙うにしても、書かれた側は、想像だにしていないタイトルや衝撃的な見出しを目にしたらどうであろう。企業取材で、広報からクレームがくることもあるという。どう対応するのか。M氏はいとも簡単にこう話す。

 

「編集長が勝手に決めてしまったので、どうしようもないです」と、説明するだけです。

 

多くの広報担当者はこのひと言で諦めてしまうが、まれに、編集部に抗議に来る強者もいる。以前、スポーツ選手のスキャンダルを報じた際には、同選手のスポンサー企業の広報責任者が編集部に乗り込んできたそうだ。

 

そんな経験をしているM氏は企業の広報担当者をどう見ているのか。

 

「記者クラブに所属していない媒体(週刊誌)が求める広報とは、編集者から言うと、本音で話ができることです。会社としての言い分や建前がある一方で、個人的な見解を言える、自らの意見を吐露してくれる広報担当者がいい」。

 

さらにこう続ける。

 

「私自身は、いざ、という時のために、広報担当と酒を酌み交わしています。酒を通じて、どんな人物かを知るのは大事です。広報との付き合いもいろんなやり方があっていいが、私は酒を通じて関係を築いています」。

酒の効用なのだろう、広報から異動した後も、仕事とは関係なくいまも付き合いのある人が多いそうだ。

 

最後に、週刊誌と新聞の違いを聞いた

 

「分量でいえば、新聞は100行も書けば相当に長い。週刊誌は300~400行のレベル。自ずと、取材の仕方も違ってくる。新聞はある程度ファクト(事実)をとればいい。週刊誌は、ファクトの裏にある人間の喜怒哀楽を拾わないといけない。週刊誌は“喜怒哀楽”の一語に尽きる」。