メディアは、PR代理店にどんな印象をもっているのか。ご紹介する。

 

IT業界を長くウォッチングしている編集長は、好意的である。

「PR代理店にはメディアとの接し方がわかっている人が多いので、助かっている。クライアント企業の広報担当者よりも会社のことを把握していて、メディアへの伝え方を理解している担当者もいるので、ありがたい」。

 

一方キャリアが10年前後の若いIT担当の記者は、ネガティブな話に終始している。

「B to CのIT企業をクライアントにもつPR代理店から、嵐のように電話が掛かってくる。メディアを絞り込まず、手当たり次第にコンタクトをしている雰囲気が伝わってくるので、いい気がしない。愕然とすることがあった。PR会社からメールでプレスリリースが送られてきて、後から電話のフォローがあった。少し気になったので質問したところ、『このプレスリリースは私の担当ではないので、わかりません』と言われた。嘘でもいいから「確認します」くらいの対応はしてほしかった。テーマもなくトップインタビューを打診してくるPR会社もある。クライアントとのコミュニケーションがきちんと交わされていない印象で、営業的な色合いが強く、前向きに話を聞けない」。

 

ビジネス系メディアの編集長は少々、物足りない様子で、こう語る。

「PR代理店はあったほうがいいが、クライアントの情報をどう魅力的に発信すべきかという戦略を、練るべきである。コラムが書きやすいように情報発信をするなどの工夫があると重宝する」。

 

メーカー、IT企業を担当する記者。

「IT企業はPR下手な会社が多いので、PR代理店を利用したほうがいい。PRノウハウのない会社が広報活動はできないのだから、予算にもよるが、効率よく対応してくれるPR代理店を選んで、認知度をあげたほうがいい」と、PR代理店の活用を推している。

 

ITメディアの副編集長のコメントはこうだ。

「クライアントのビジネスを理解していない担当者がいる。クライアントに代わって、製品、サービスの説明をするものの、質問にまったく答えられないケースもあった。しっかり準備をしておくべきだし、クライアントに失礼である」。

さらに面白いケースを披露してくれた。

「PR会社からパソコン、IT担当の記者の方をお願いします、という問い合わせがあり、『全員です』と返答したことがある。呆気にとられた。ITの記事を扱っているメディアに向かって、パソコン、IT担当の記者をお願いしますはない。クライアント、メディアに関してきちんと把握してから、連絡してほしい」。

 

もう一人、ITメディアの記者から。

「記者の担当分野を調べずに情報を提供されることがある。かたや、メディアの特性、記者の傾向を把握して、タイムリーな情報をしてくる担当者もいる。さまざまである。PR代理店のおかけで、新しい世界に触れられたりするので、ありがたいと思っている」。

 

最後にIT企業の広報課長の話しを。

「大手のIT企業は別だが、上場したばかりの企業や中小企業は広報のことがわかってないので、PR代理店を使うか、経験者を採用するなどしたほうがいい。共同でプレスリリースをしたことがあるが、先方の若い広報担当者は、プレスリリースの配信が広報の仕事と思っており、他に何をすべきか、まったくわかっていなかった」。

 

何人かの記者から共通の提案があった。纏めると、こうなる。

IT業界は記者発表会が多いので、できれば、同じ日時に開くのは避けてほしい。難しいとは思うが、PR会社にうまく調整してもらえると助かる。