25年以上にわたってメディアの世界に身を置いているN記者に、「責任逃れの常套句」といった、メディア対応ではタブーの言葉、NGワードを教えてもらったので、紹介する。
まずはこちら。
「知らなかった」「部下がやった」。
社長など取締役以上の人が決して言ってはいけない表現。政治家は「秘書がやった」の一言で逃げてしまう。禁止である。
次は「法的に問題はない」「法律は守っている」。
確かにその通りでも「あなたの会社で起きてしまった」という事実は拭えない。仮に顧問弁護士に確認した上であっても、口にしてはいけない見解である。世間では「法律を守っていれば、なにをやってもかまわないのか」という、ネガディブな企業イメージが作られてしまう。
続いて、絶対、吐いてはいけない言い訳。
「みんなやっいる」「他の会社もやっている」。
このひと言は業界を揺るがすので、100%、使ってはいけない。言ってしまうと、会社は倒産または、業界全体で潰しにくる、とN氏は指摘する。恐ろしい限りである。
(余談だが、マンション傾斜問題では先週、業界団体が記者会見を開き、謝罪している)。
さらに「たいしたことはない」。
実際にたいしたことではなくても、事の重大さを決めるのは当事者であったり、読者・視聴者であって、問題を起こした会社が判断することではない。やはり謝罪すべきであって、決して表にしてはいけない言い分である。
「ご存じのように」「先ほど申し上げたとおり」「言うまでもなく」。
話す気がない、喋る気がない、というのが看取できるので、避けたほうが賢明とのこと。確かに、聞かされた記者はもちろん、読者や視聴者にも響きの悪い、マイナスの印象を与える気がする。
最後に、「私たちも被害者です」。
某企業のトップが発して、注目を浴びたコメント。確かに正しいのだが、その被害が消費者に波及してしまっては、よろしくない。不適切な表現である。
以上、禁句集。
今後のメディア対応の参考になれば幸いである。