取材記事を公開前に確認したい。
広報担当者の本音である。社長インタビューであればなおさらのことだ。あとでトラブルが発生して、記者と擦った揉んだ、は起こしたくない。
メディアにもよるが、原稿の事前確認は厳しい。広告や編集タイアップでない限り原則、事前チェックはできない。事実関係くらいであれば構わない、という記者や編集者がいれば、一切無理、とにべもなく断るメディアもある。
取材先と口論になったIT記者はこう話す。
「社長インタビューをした企業の広報担当者から、原稿を確認させて欲しい、との連絡がはいった。渋々みせたところ、案の定、クレームがきた。『こういう発言はしていない』『こういった意味で喋ったわけではない』など、不愉快なやりとりがあった。なんとか纏めたものの、後味の悪い結果になった」。
両者が上手く収まる方法はないものか。
長く企業取材を経験した編集長が、独断と偏見だと断りながらも、気の利いた対処法を、披露してくれた。
「まずはインタビュー前に、事前のレクチャーをしたほうがいいです。自社の現状、課題や今後の方向性さらに、業界の事情などを説明します。さらに取材の冒頭もしくは終わった後で、インタビュー中の発言に関するチェックを打診します」。
ある程度、信頼関係のできている記者の場合はいいが、初対面の記者であったり、初めてのメディアの場合は多少、注意をしたほうがいいそうだ。深追いすると、嫌がる記者もいるので、逆にマイナスになるケースもあるとのことだ。
取材後の発言チェックとは、どのようにすればいいのか。
「広報担当者は取材に同席しているはずです。取材後に少し時間をもらい、インタビュー中の発言の確認をしたい旨、伝えます。そして、『あの発言に関して社長は言い過ぎているので、こうしてほしい』『部長はあのように発言しているが、こういうふうに考えていただきたい』など、修正を図ります。極端な訂正は厳しいかもしれないが、このレベルまで対応しておけば、間違って伝わることはほぼ、ゼロに近い」と、編集長は太鼓判を押す。
記事の事前確認も、煎じ詰めれば、日頃のマスコミ対応の姿勢・取組そして、日々のメディアリレーションが影響してくるのではないか。