「新聞社は斜陽産業だ。地方紙はいつ潰れてもおかしくない」。

 

地方紙で論説委員を務めたU氏は、新聞そして地方紙の現状をこう指摘する。

 

さらに続ける。

「調子のいい新聞はない。全国紙も含め、すべての新聞が発行部数を減らしている。部数が減るということは読者が減る。読者が減れば販売収入も広告収入も減る。その結果、財務状況が悪化し、合理化のために社員を減らす。編集の現場で何が起きているかというと、一人当たりの仕事量が増えている」。

 

斜陽産業化の要因は何か。

 

「やはりネット。情報が無料で手に入り、お金を払ってニュースを手に入れるという習慣がなくなった。これが大きい」と、U氏は嘆く。

 

ここにもネットによる既存の活字メディア離れが浮かび上がってくる。

 

昔は、新聞というと全国紙か地方紙、ということだった。いまは、新聞をとるかとらないかの選択に変わったそうだ。

 

U氏が社の販売担当者から聞いたところによると、新築マンションができても、半分近くは新聞を購読せず、若くなるほど新聞をとらない傾向にあるという。

 

日本新聞協会によると、全国の2010年の一般紙の発行部数は約4490万、2015年は約4069万で、この5年間で400万部以上も減少している。確かに、通勤電車で新聞を読む光景をめっきりみかけなくなった。目にするのは、必死にスマートフォンとにらめっこしている、縮こまった姿ばかりである。

 

新聞社の経営層はこの厳しい現状を、どう見ているのか。

 

「もちろん、生き残りを考えてはいるが“これ”といった策はないのが本音だ。電子新聞にも進出しているがいまだ、採算ベースに乗っていない。主催のイベントも手がけてはいるが、利益は非常に少ない」と、U氏は自社の状況を説明する。

 

新聞社のなかには、不動産事業の収益で、新聞事業のマイナスを補填しているところもあるという。

 

新聞社に生き残る道はあるのか。とりわけ地方紙の多くは厳しいという。

 

「若い人は自分の興味ある情報しかとらないので、いま、世の中で何が起っているのかがわからなくなってしまう。そうすると、何を考えなくてはいけないのかも、わからなくなる。それを伝えるのが新聞の役割ではないか。そういう意味で新聞は必要なメディアである、ということをわかってもらわないといけない。それをどう知らせていくかが鍵になると思う」と、U氏は地方紙の在り方を語っている。

 

新聞だけではない。テレビ、ラジオ、雑誌など、既存メディアはインターネットの誕生で大きな変革を迫られている。

 

Beyond Internet。

 

地方紙はどうなっているのか。