インターネットの出現により、マスメディアの力は間違いなく落ちた。情報の発信者としての独占的な地位はすでになく、新聞やテレビは検索エンジンやキュレーションメディアにその地位を明け渡したようにも見える。
しかし、それはもちろん間違いである。インターネットは旧来のマスメディアに取って代わるものではなく、相互に補完し合う仲である。
どういうことか。
情報提供の役割分担がそこにはある。
マスメディアは組織力、中立性、客観性をできるだけ保つように、そしてある程度万人に向けた室の高い情報を提供する。信頼性の高い情報は引用されるため、ソーシャルメディアやブログメディアからアクセスされる。
逆にソーシャルメディアやブログメディアは、客観性、中立性が求められていはいない。これらのメディアに価値があるのは、「個人的な思い」や「ある人の意見」を覗くことができるからである。したがって、逆に客観性や中立性を求めれば求めるほど面白くなくなる。
よって、今後のマスメディアは「データバンク」や「情報ソース」としての役割を重要視し、「意見表明」はあまり重要視しなくても良さそうである。
ということは本質的には通信社的な役割を求められている可能性が高い。また、取材力があることから、意見を持った専門家のキュレーターとしての位置づけとなる。
しかし、そう言った情報にカネを払うコンシューマーはいるのだろうか?
私はいると思う。
客観的データ、取材を行った情報、そういった正確なソースを求める人はいくらでもいる。だが、「一般向け」では徐々になくなっていく可能性は高い。