日々のニュースを中心に報道するIT系オンラインメディアの編集長E氏。多い日は300本地近い
プレスリリースに対処することもある。どう捌き、どんな尺度で記事として取り上げているのか。
「はじめにタイトルなど見て、粗く振り分け、多めに拾っておく。メディアの性格上、企業向けの情報を扱うので、対象となる数はさらに絞り込まれる」。
残ったものは登録し、記者の一任で記事化されていく。
「私は企業名から入っていくことが比較的、多い。そのほうがPVがとれる可能性が経験則的に高いからです」。
他のメディア同様やはり、メジャー企業のプレスリリースが優先されるのか。
「大企業イコール絶対ではない。中堅・中小でもおもしろいものは扱う。海外のベンチャー企業の
話題も届くため、小さい、無名といっただけでは無視できない」。
では、プレスリリースを記事として掲載する基準はどうか。
「まず、日本語がきちんとしているのが第一条件」と、端的である。日本語が破綻しているプレスリリースはゴミ箱へ直行となる。
「IT企業のプレスリリースは、わけのわからないものが多い」とも、指摘する。
つぎはどんな判断か。
「内容が完結に纏まっている。饒舌はよくない。新機能などを簡潔に表現し、補足情報などは下段に納めているのがいい。製品やサービスに直接、関係しない業界情報は不要。CEOや第三者のコメントはまったく価値がないので一切、見ない」と、明快である。
次に、広報担当者との関係性は影響するのか。
「情報の鮮度、価値、内容など、前提条件が同じプレスリリースだと、面識のある広報担当者がいる企業のものが有利になることはある。ただし、100%ではない」と、正直である。
プレスリリース配信後の電話フォローにはどう思っているのか。
「念を押すのはわかるが、仕事が中断されるので非常に煩わしい。個人的には、電話をかけてほしくない」。
以前にも、プレスリリースに対する記者のコメントを紹介したが、共通点はあるものの、微妙な温度差も感じられる。記者という属人的な職業によるものか。
結局は、メディアの特性、記者の特徴や嗜好をどれだけ多く把握しているかがポイントとなる。
つきなみだが、プレスリリースについては、明確でわかりやすい日本語を使い、伝えたいメッセージは最初に語る。補足情報は下段で対応し、関係者のコメントは載せない。
電話のフォローは、時間帯や相手との親密度・距離感などを考慮してコンタクトすればよい。