先週は決算発表のピークだった。IR・広報担当者はいまごろ、ホッと、ひと息といったところか。

 

広報イベントの一つに記者説明会がある。事業方針、新製品、提携などその中身はさまざまである。この説明会、出席するメディア側はどう見ているのだろうか。IT業界を20年近く取材し続けている記者が、微細なことも交え語っている。

 

「IT業界は新製品、新サービスの発表会が多く、1週間に10件ほどあります。ただし、そのうち3割くらいは開催しなくてもいいのではないか。要は、新しいものがないんですよ」。

 

新バージョンという触れ込みにも関わらず、何が新しいのか、いっこうにわからない説明会もあるとのこと。あがった記事は質・量ともに乏しい結果となる。下手をすれば掲載に至らない場合もあるそうだ。

 

通常、説明会そのものは1時間で終える。プレゼンテーション、デモ、質疑応答などで全体が組まれている。

 

まずはプレゼンテーションから。

「いろいろ伝えたいのは理解できるが、業界の一般的な話題や自社のビジョンなど、本題と直接、

関係のない説明は極力、短時間で済ませたほうがいい。個人的には不要で、いっきに本題に入ってほしい。時間的にはプレゼンも含め30~40分程でしょうか。残りは質疑応答にあてればいい」。

 

外資系だと通訳が必要なこともある。逐次通訳だと時間のロスが生じるので、予算が許すのであれば同時通訳を薦めている。プレゼン内容も工夫する必要があるとのことだ。

 

細かいことで、と前置きしさらにこう続けている。

 

「作業スペースのない記者会見場は非常に困る。シアター形式だったり、椅子のみ。ひどいと、スタンディングというのもある。こちらはメモをとりながら、写真撮影もあるので、それなりの場所が必要です。エンターテインメント性を凝らしたり、お洒落な会場で行うケースもある。気持ちはわかるが、こちらは仕事にきているので、普通にやってほしい」。

 

テーブルなどは、3人掛けを2人掛けにすると広く使えるので、記者には喜ばれる。一度、試してもいのではないか。

 

最後に、説明会終了後のぶら下がりの目的を教えてくれた。

 

「他社に聞かれたくない質問をする。それだけです」。

 

業界によって、説明会の形式も多種多様である。何がベストわからないが、目的は一つである。メディアの報道を通じて、広く世の中に訴求・認知することだ。その点だけは踏み外すべきではないだろう。