ネットワーク系のソリューションを提供する外資系ITベンダーの広報活動を紹介する。

 

同社でマーケティングマネージャーを務めるU氏。現在、マーケティングと広報の業務の割合は6対4。今年からPR代理店と契約を交わし、積極的に広報活動に取り組んでいる。

 

「今期は導入事例をどんどん発信して、認知度を上げていく。先行するS社に少しでも近づくには、

当社の実績をアピールするのが最も効果があるとの判断からだ」と説明する。

 

どのような広報をしているのか。

「国内外を問わず、公開できる事例は極力、プレスリリースにして配信している。海外事例は難しいが、日本企業の事例は比較的、メディアが取り上げる確率が高い。1件でも多く事例をとるよう営業にプレッシャーをかけている」。

 

外資系企業の場合、国内のプレスリリースを配信するには本国(本社)の許しが必要となるが、どう対処しているのか。

 

「本国への了解はとっていない。英語への翻訳作業や承認の時間など、無駄が多いので勝手に進めている」と意に介さない。

 

外資系の広報では確かに、何かと本国の許可を必要とするものが多い。プレスリリース1本のために、1ヵ月も時間を要することもある。担当者としてはたまったものではない。

 

事例の他にはどういう策をうっているのか。

 

「メディアリレーションの範囲を広げている。従来はITメディアが中心だったが、教育、医療関係の記者にもコンタクトをしている。理由は簡単で、弊社のソリューションが学校や医療機関に採用されているからだ」。

 

どのようにアプローチしているのか。

 

「PR代理店と連携し、プレスリリースを持参してメディアを訪問し、製品や導入先の説明をしている。技術的な内容は避けて、何ができるか、どんな効果があるかなど、ユーザー目線の話に重きを置いている」。

 

この他、IT系のメディアには、寄稿記事の執筆なども打診しているという。

 

決して派手さはないが、掲載記事の数も着実に増え、認知度の向上を少なからず感じているとのことだ。

オーソドックスで地道な広報活動が功を奏している。