プレス対応は広報担当者の大事な仕事のひとつである。記者への対応しだいで、本人はもちろん、自社への印象も大きくかわってくる。
記者歴8年のO氏自身がうけた取材依頼への対応を振り返り、こう語っている。
「取材申込の電話をし、メールで企画書を送って一週間しても返事がこない。催促しても梨の礫。結局、取材はできませんでした。職業人の素養以前に、社会人としての基本ができていない。まったく話になりません」。以降、同社への関心も減り、取材をしていないという。
さまざまな業種の企業を取材するE氏にとって、どんなメディア対応がいいのか。
「まずは、迅速な対応ですね。電話取材ではその場で応える。わからなければ、確認して折り返し同日中に回答してくれるなど、的確かつ要領よく。それと社内調整力です。こちらも悪いのですが、漠然としたテーマでインタビューを依頼することがあります。意図を組んで、最適な人を準備してくれると、非常助かります。結果、いい内容の記事になります」。
ある記者はこうとも言う。
「メディアの性格や位置づけ、どんなメンバーがメディアをつくっているのかなど、内部事情に踏み込んでいるのも一つかなと。ビジネス上だけではなく、どれだけ相手の懐に入り込んで、本音ベースの話しができる関係を築けているかでしょうね」。
相手の懐に入るには、それなりに時間を必要とする。ビジネスとプライベートの間の微妙なバランスをつくり、保つには、コミュニケーション以上に人間性もからんでくる気がする。
一方、新聞、テレビといった旧来の大手メディアしか相手になしない企業も多く、メディア格差を嘆く記者もいる。
「言葉は悪いですが、昔から付き合いのある新聞やテレビにしか情報を提供しない大手企業もあります。記者発表会の通知を送らないことも多々あります。某IT企業は、フリーランスの取材は受けないし、報道資料も提供しません」。
「こういった対応がひょっとして、業績にもつながってくるのではないか・・・」と、同記者は懐疑的に語っている。
ぞんざいなプレス対応をしていると、いずれツケが回ってくる。自社が不祥事を起こそうものなら、必要以上に叩かれるやもしれない。
特別扱いはする必要はないが、広報の仕事に携わっている以上、プレスへの「公平・公正」な対応を心がけたいものである。