「プレスリリースは、ださないといけないでしょうか」
理由を問うと、
「ほとんど記事としてとりあげてもらえないですから」。
世間に名の通った企業でない限り、プレスリリースが記事になる可能性は低い。
記者がこう説明する。
「誰でも知っている企業の製品やサービスのほうが、読者の関心度・注目度が違う。記者はどうしても、読まれる頻度が高い会社の話題を優先する。たとえインパクトが弱かったり、情報量が少なくても、取り上げる確率は高い」。
メディアには日々、数百件にのぼるプレスリリースが送られてくる。このブログでも以前、紹介したが、記者が一件一件、具(つぶさ)にプレスリリースに目を通すことはない。自ずと、知名度の低い企業のプレスリリースは素通りされてしまうのだ。
ではどうすべきか。
別の記者はこんなアドバイスをする。
「漫然とプレスリリースを送るのでは、他社と一緒です。事前に電話にて配信する旨を伝え、手短に内容に触れておくのも一考ですね。非常にうまい広報担当者がいて、『○○さん、忙しくて読んでないと思いますが、XX時にこういったブレスリリースをお送りしています。ぜひ読んで欲しかったです』と言いながら、手際よく説明します」。
タイミングにもよるが、参考に値する方法ではある。
こう指摘する記者もいる。
「本当に掲載してもらいたければ、直接、記者を訪問して説明するのが一番、効果がある」。
いわゆるプレスキャラバンだが、時間がかかる点で、広報担当者が二の足を踏むきらいがある。
いっぽう、プレスリリースの配信後に、確認の電話をいれてくるのを嫌がる記者もいる。
「ニュース記事を書いている夕方の電話は、とても迷惑。出たくない、というのが本音です」。
もう一つ、好まれない例がある。
「メディアを広告としか考えていない広報担当者がいます。掲載日はいついつでお願いします、とか。何で掲載されなかったのですか、とか。気持ちはわかるが、記事の掲載に拘泥しすぎると、こちらもあまりいい気分にはならない。別の機会に取り上げることもあるので、長い目で見て欲しい」。
企業の広報マンが、ちょっとしたアイデアを喋ってくたれ。
「公平・公正という意味ではいかがなものですが、プレスリリースの配信日の前日に、ごくごく親しい記者だけに送ります」。
詳細は話さなかったが、どうしても記事掲載を獲得したい時に、このやり方を使うそうだ。ただし、100%掲載の保証はないとのことである。
やはり即効薬はないようだ。月並みだが、日頃のメディアリレーションが効果を発揮するような気がしてならない。