新聞社と通信社って、どんな関係なんだろう

新聞社と通信社。

ニュースを買う側とニュースを売る側。

それ以外のことはあまり知られていない。

 

20年以上のキャリアをもつ新聞記者のA氏は、新聞社と通信社(仮にG社としておく)のことをこう話す。

「1年契約で毎年更新します。政治、経済、国際、社会、スポーツなどの一般ニュースが、通信社から新聞社に配信されてくる。文化面に使うような旅の企画などはオプション契約なので別途、費用が発生します」。

 

契約料金はどうなっているのか興味が沸く。

「契約料金は、新聞社の新聞の発行部数と新聞1部の価格をベースに、G社が算出します。

部数が多いほど契約料は高くなる仕組みです」と、A氏は説明する。

 

ニュースは専用回線を通じて送られてくる。朝に配信が始まり、深夜の1時から2時くらいまで提供される。相当の数にのぼるが、A氏が籍を置く新聞社では半分も使わないという。地方紙なので、地元の記事は自社の記者が書いたものが当然、掲載される。通信社からのニュースで主に利用するのは国政、国際など、地方紙ではカバーできないもが中心となる。1年間で相当の額の契約料を通信社に支払っている。半分しか使わないのは経費の無駄ではないか。

一般企業では考えられない気がする。紙面の量に限りがある一方で、一定の分量がパッケージで配信されるので、やむを得ない面もあるようだ。ニュースを厳選する手腕が問われる。

 

送られてくるニュースはトップクラスのものと、それ以外の2種類。

「トップクラスのものは『一押し』を意味します。新聞の一面あるいは、社会面のトップにもってくるような大きな記事です。地方には、通信社の記事で多くの紙面を作っている新聞社もあるほどです」。

通信社の存在の大きさがわかる。

 

新聞とくに地方紙にとって重要な通信社だが、人的な接点はあるのだろうか。

「通信社の各編集部門の部門長と、地方紙の部門長による定例の会議があります。政治部や社会部など、部門別に集まり、情報交換をしています」。

 

どんなやりとりがなされているのか。

「日々の編集現場に関する仕事の話が中心です」。

社会部であれば、このような事件があり、匿名か実名のどちらを掲載すべきか、他社はどう対応したかなど、といったものだ。

 

こういった会議の中で、注目すべき会議があるという。整理部長が集まる会議だそうだ。全国の新聞社の整理部長が一堂に会するもので、G社側は新聞社にニュースを配信する部門長はもちろん、編集局長をはじめ、政治部、経済部など各部門の長が出席する。新聞社の整理部は、G社のニュースの受け入れ窓口となり、送られてきたニュースの採用を決定する。この整理部長が集まる会議はかなりシビアなやりとりがあるという。

A氏曰く「人間社会のありとあらゆる苦情が噴出する。少しでも良い新聞をつくりたいという熱意の故だが」。

 

どんな言葉が発せられるのか。

こんな感じである。

 

「記事が遅い」

「記事がつまらない」

「訂正をだしすぎる」

「写真がない」

「この記事はC社の配信記事のほうがよかった」

「御社の記事は何を言いたいのか、わからなかった」

「A新聞の記事は適確だった」

「このスポーツの写真はまったく迫力がなかった。位置取りが最悪である」

 

ときに、重箱の隅をつつくような些細なことまで指摘されるそうだ。

この整理部長の会議に集まる会に出席したG社の幹部が、ある席でA氏にこぼしたそうだ。

 

「あの会議だけはつらい。竹槍でこずかれているようで、落ち込んでしまう」。

 

新聞社も通信社もジャーナリズムの第一線という印象があるやもしれないが、なんともいえない生々しい世界があるものだ。

 

「新聞社とくに地方紙は通信社を頼りにしています。確かに厳しい言葉もあるが、頑張ってほしいという激励でもあるんです」とはA氏の弁である。

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地方紙は生き残れるのか

「新聞社は斜陽産業だ。地方紙はいつ潰れてもおかしくない」。

 

地方紙で論説委員を務めたU氏は、新聞そして地方紙の現状をこう指摘する。

 

さらに続ける。

「調子のいい新聞はない。全国紙も含め、すべての新聞が発行部数を減らしている。部数が減るということは読者が減る。読者が減れば販売収入も広告収入も減る。その結果、財務状況が悪化し、合理化のために社員を減らす。編集の現場で何が起きているかというと、一人当たりの仕事量が増えている」。

 

斜陽産業化の要因は何か。

 

「やはりネット。情報が無料で手に入り、お金を払ってニュースを手に入れるという習慣がなくなった。これが大きい」と、U氏は嘆く。

 

ここにもネットによる既存の活字メディア離れが浮かび上がってくる。

 

昔は、新聞というと全国紙か地方紙、ということだった。いまは、新聞をとるかとらないかの選択に変わったそうだ。

 

U氏が社の販売担当者から聞いたところによると、新築マンションができても、半分近くは新聞を購読せず、若くなるほど新聞をとらない傾向にあるという。

 

日本新聞協会によると、全国の2010年の一般紙の発行部数は約4490万、2015年は約4069万で、この5年間で400万部以上も減少している。確かに、通勤電車で新聞を読む光景をめっきりみかけなくなった。目にするのは、必死にスマートフォンとにらめっこしている、縮こまった姿ばかりである。

 

新聞社の経営層はこの厳しい現状を、どう見ているのか。

 

「もちろん、生き残りを考えてはいるが“これ”といった策はないのが本音だ。電子新聞にも進出しているがいまだ、採算ベースに乗っていない。主催のイベントも手がけてはいるが、利益は非常に少ない」と、U氏は自社の状況を説明する。

 

新聞社のなかには、不動産事業の収益で、新聞事業のマイナスを補填しているところもあるという。

 

新聞社に生き残る道はあるのか。とりわけ地方紙の多くは厳しいという。

 

「若い人は自分の興味ある情報しかとらないので、いま、世の中で何が起っているのかがわからなくなってしまう。そうすると、何を考えなくてはいけないのかも、わからなくなる。それを伝えるのが新聞の役割ではないか。そういう意味で新聞は必要なメディアである、ということをわかってもらわないといけない。それをどう知らせていくかが鍵になると思う」と、U氏は地方紙の在り方を語っている。

 

新聞だけではない。テレビ、ラジオ、雑誌など、既存メディアはインターネットの誕生で大きな変革を迫られている。

 

Beyond Internet。

 

地方紙はどうなっているのか。

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リリースには生活や仕事に役立つ情報を盛り込む。 記者には関心分野を、単刀直入に聞いてしまう

「以前は、一日に5~6本のペースでニュースリリースを記事にしていましたが、いまはほとんど書いていません」と語るのは、IT記者歴10年のH氏である。記者説明会に出席した日には、一日で10本前後の原稿を書き上げるという忙しさだ。

 

何故、ニュースリリースを記事化しなくなったのか。

 

「ニュースリリースを要約して書くのであれば、ニュースリリースの配信サイトには勝てないと思っています。だったら、やらないほうがいい、と感じていました。ニュースリリースを記事にするのはまったく意味がない、とは断言しませんが、やはり直に取材し、聞いてみないとわからないものが多いですね」。

 

企業の広報担当者やPR代理店から、ニュースリリースに関わる電話が入るのも煩わしいと言う。多いときには一週間に40~50件の電話がくるそうだ。確かにうんざりである。

そんなH氏が企業の広報担当者にこうアドバイスする。

 

「メディアを訪問して直接、記者や編集者にブリーフィングしたほうがいい。製品や技術のことを説明したいのもわかるが、ITはあくまで道具なので、社会的な価値や意味合を訴求すべきです」。

 

多くの広報担当者は、配信したニュースリリースが記事化されるとは安易には思っていない。かといって、メディアへの個別訪問はあまりにも時間がかかりすぎる。仕事とはいえ、人によっては億劫に感じる担当者もいる。

 

では、少しでもニュースリリースを魅力的に見せるにはどうすべきか。

 

H氏はこんなアイデアを話す。

 

「新製品や新サービスであれば当然、利用者はまだいないはずです。であれば、実証試験やデータ結果などを示し、社会への貢献度、BtoCであれば日々の暮らしにどう役立つか、BtoBであればいかに日々の仕事に有益か、などを説明すればいい」。

 

この手のニュースリリースもゼロではないが、非常に少ないと指摘する。

 

一方、メディアへの訪問を好意的にみない記者もいる。

 

「広報担当者の気持ちもわかるが、私自身はニューへスリリースを見て、関心があれば問い合せたり取材をするほうです。仮に直接、説明を聞いても、あまり興味がもてないものだと、お互い時間の無駄になる」。

 

でばとうすべきか。

 

「記者に、好みのテーマや関心のある分野を、単刀直入に聞いてしまえばいい。聞き出した情報をベースに、記者の意図にあった素材を社内の関連部署に問い合わせ、それ纏めて、記者に投げかける」。H氏の私見である。

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取材原稿を事前に確認できないものか

取材記事を公開前に確認したい。

 

広報担当者の本音である。社長インタビューであればなおさらのことだ。あとでトラブルが発生して、記者と擦った揉んだ、は起こしたくない。

 

メディアにもよるが、原稿の事前確認は厳しい。広告や編集タイアップでない限り原則、事前チェックはできない。事実関係くらいであれば構わない、という記者や編集者がいれば、一切無理、とにべもなく断るメディアもある。

 

取材先と口論になったIT記者はこう話す。

 

「社長インタビューをした企業の広報担当者から、原稿を確認させて欲しい、との連絡がはいった。渋々みせたところ、案の定、クレームがきた。『こういう発言はしていない』『こういった意味で喋ったわけではない』など、不愉快なやりとりがあった。なんとか纏めたものの、後味の悪い結果になった」。

 

両者が上手く収まる方法はないものか。

長く企業取材を経験した編集長が、独断と偏見だと断りながらも、気の利いた対処法を、披露してくれた。

 

「まずはインタビュー前に、事前のレクチャーをしたほうがいいです。自社の現状、課題や今後の方向性さらに、業界の事情などを説明します。さらに取材の冒頭もしくは終わった後で、インタビュー中の発言に関するチェックを打診します」。

 

ある程度、信頼関係のできている記者の場合はいいが、初対面の記者であったり、初めてのメディアの場合は多少、注意をしたほうがいいそうだ。深追いすると、嫌がる記者もいるので、逆にマイナスになるケースもあるとのことだ。

 

取材後の発言チェックとは、どのようにすればいいのか。

 

「広報担当者は取材に同席しているはずです。取材後に少し時間をもらい、インタビュー中の発言の確認をしたい旨、伝えます。そして、『あの発言に関して社長は言い過ぎているので、こうしてほしい』『部長はあのように発言しているが、こういうふうに考えていただきたい』など、修正を図ります。極端な訂正は厳しいかもしれないが、このレベルまで対応しておけば、間違って伝わることはほぼ、ゼロに近い」と、編集長は太鼓判を押す。

 

記事の事前確認も、煎じ詰めれば、日頃のマスコミ対応の姿勢・取組そして、日々のメディアリレーションが影響してくるのではないか。

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元副編集長の週刊誌と広報の四方山話

「週刊誌というと、たくさん嘘が書いてあり、怖いというイメージをもたれています」と、週刊誌の元副編集長のM氏が言う。

 

嘘と怖いをあわせもつ週刊誌にとって重要なのが、電車の中吊り広告や新聞広告のタイトルである。このタイトル、どんなふうに作られるのか。

 

「最終的には編集長が決めます。恐らく、どの週刊誌も同じでしょう。そういう文化と思ってもらえばいいです。私が所属していた編集部を例にとると、担当記者とデスクで見出しを作ります。それをデスクが編集長に説明。編集長は理解したとはいえ、まともなタイトルをつけたところで読者は興味を抱かない、となり、次第に過激になっていきます」と、M氏が大まかな流れを話す。

 

極端な話、記事が一行も書かれていないうちに、タイトルだけが先行して決まることもままあるとのことだ。その場合、記事はどう書き上げるのか。

 

「派手なタイトルがつくと、記事の中身もタイトルに従わざるをえない。かといって、大幅に内容を変更できないので、形容詞などを多用して、辻褄を合わせます」。これが結構、大変な作業のようだ。

 

読者受けを狙うにしても、書かれた側は、想像だにしていないタイトルや衝撃的な見出しを目にしたらどうであろう。企業取材で、広報からクレームがくることもあるという。どう対応するのか。M氏はいとも簡単にこう話す。

 

「編集長が勝手に決めてしまったので、どうしようもないです」と、説明するだけです。

 

多くの広報担当者はこのひと言で諦めてしまうが、まれに、編集部に抗議に来る強者もいる。以前、スポーツ選手のスキャンダルを報じた際には、同選手のスポンサー企業の広報責任者が編集部に乗り込んできたそうだ。

 

そんな経験をしているM氏は企業の広報担当者をどう見ているのか。

 

「記者クラブに所属していない媒体(週刊誌)が求める広報とは、編集者から言うと、本音で話ができることです。会社としての言い分や建前がある一方で、個人的な見解を言える、自らの意見を吐露してくれる広報担当者がいい」。

 

さらにこう続ける。

 

「私自身は、いざ、という時のために、広報担当と酒を酌み交わしています。酒を通じて、どんな人物かを知るのは大事です。広報との付き合いもいろんなやり方があっていいが、私は酒を通じて関係を築いています」。

酒の効用なのだろう、広報から異動した後も、仕事とは関係なくいまも付き合いのある人が多いそうだ。

 

最後に、週刊誌と新聞の違いを聞いた

 

「分量でいえば、新聞は100行も書けば相当に長い。週刊誌は300~400行のレベル。自ずと、取材の仕方も違ってくる。新聞はある程度ファクト(事実)をとればいい。週刊誌は、ファクトの裏にある人間の喜怒哀楽を拾わないといけない。週刊誌は“喜怒哀楽”の一語に尽きる」。

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不祥事、事故や事件の緊急記者会見に臨むにあたって

企業の幹部にマスコミ対応のレクチャーをする機会があった。私が基本的な内容を、ゲストスピーカーには現役の編集長・Y氏を招いた。Y氏は本人の経験を交え、主に不祥事、事件や事故を起こした企業のマスコミ対応に関して持論を交えて解説した。その一部を、披露する。

 

不祥事、事故や事件が発生した際に、事前に準備するのが「公式見解」である。公式見解は、ポジションペーパー、統一見解、声明文、ステートメントなどとも呼ばれている。①事実(事件・事故) ②経過と現状 ③原因 ④対策(解決策) ⑤見解 の5つの要素で構成されている。何が起こって、どういう現状で、原因は何で、どういう対策が必要か、そして見解を示したものである。これらをしっかり説明し、対処すれば、大きな間違いを起こすことはない。

 

しかし記者によって、また新聞、雑誌などのメディアによっては、注目する点が異なる。事実や経過に興味をもつ記者がいれば、原因や対策に関心を向ける記者もいる。さらに経済部と社会部でも、フォーカスする点が大きく異なる。

 

経済部の記者は「操業停止期間」「被害総額」「株価の影響」「今後の影響」といった、企業の経済活動を視ている。いっぽう社会部の記者は、どちらかというとトップの責任を追及する傾向にある。「社長はいつ、この問題を知ったのか」「この事態をどう思っているのか」あるいは「責任をどうとるのか」といった質問が浴びせられる。

 

経済部の記者は一つの企業、業界を、3年なり5年なりの時間にわたり取材し続けているので、基礎知識がある。社会部の記者は、当該企業のことはまったく知らず、すべての事実が初めてとなる。経済部と社会部では事件の扱い方は当然、違ってくるし、認識も異なる、ということを十分、理解すべきである。

 

会見やインタビューなりで公式見解を発表する際に注意すべき点がある。会見場などでは当然、目の前に記者がおり、記者に語り、記者の質問に答えることになる。意識は眼前の記者にいってしまうのが常人である。だが意識すべきは記者ではなく、記者の向うにいる読者・視聴者である。読者・視聴者にメッセージを送るというスタンスが重要である。

 

茶髪でスーツを着ていない若い記者がいれば、意地の悪い質問、難問をぶつけてくる記者もいる。不愉快にもなるだろうが、そこはぐっと我慢して、顔には出さず、記者の後ろには1億人の読者・視聴者がいると思って対応する。新聞であれば一面に書かれてしまうこともある。最終的に判断するのは読者・視聴者あると、認識することが肝要である。

 

レクチャーの最後にY氏は以下のようなコメントを残した。

 

「記者会見でトップが泣く。これは、泣いた者勝ちです。取材する側も、攻め手が鈍ります。ただ、トップの泣いている姿はYouTubeにもあがるように、延々と映像が流れます。それを覚悟していれば、社長が涙を流して詫びる、というのは、決して悪くはないと思います。メディア対応的には勝ちです」。

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取材対応NGワード! 責任逃れの常套句

25年以上にわたってメディアの世界に身を置いているN記者に、「責任逃れの常套句」といった、メディア対応ではタブーの言葉、NGワードを教えてもらったので、紹介する。

 

まずはこちら。

「知らなかった」「部下がやった」。

社長など取締役以上の人が決して言ってはいけない表現。政治家は「秘書がやった」の一言で逃げてしまう。禁止である。

 

次は「法的に問題はない」「法律は守っている」。

確かにその通りでも「あなたの会社で起きてしまった」という事実は拭えない。仮に顧問弁護士に確認した上であっても、口にしてはいけない見解である。世間では「法律を守っていれば、なにをやってもかまわないのか」という、ネガディブな企業イメージが作られてしまう。

 

続いて、絶対、吐いてはいけない言い訳。

「みんなやっいる」「他の会社もやっている」。

このひと言は業界を揺るがすので、100%、使ってはいけない。言ってしまうと、会社は倒産または、業界全体で潰しにくる、とN氏は指摘する。恐ろしい限りである。

(余談だが、マンション傾斜問題では先週、業界団体が記者会見を開き、謝罪している)。

 

さらに「たいしたことはない」。

実際にたいしたことではなくても、事の重大さを決めるのは当事者であったり、読者・視聴者であって、問題を起こした会社が判断することではない。やはり謝罪すべきであって、決して表にしてはいけない言い分である。

 

「ご存じのように」「先ほど申し上げたとおり」「言うまでもなく」。

話す気がない、喋る気がない、というのが看取できるので、避けたほうが賢明とのこと。確かに、聞かされた記者はもちろん、読者や視聴者にも響きの悪い、マイナスの印象を与える気がする。

 

最後に、「私たちも被害者です」。

某企業のトップが発して、注目を浴びたコメント。確かに正しいのだが、その被害が消費者に波及してしまっては、よろしくない。不適切な表現である。

 

以上、禁句集。

 

今後のメディア対応の参考になれば幸いである。

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記者への取材対応、ブリーフィングの巧拙が、記事内容にも影響してくる

「私自身は、取材拒否をされるととても嬉しかった。つまり、何を書いても企業側から怒られない、と信じていたからだ。『お手柔らかに』といった挨拶がくることはあったが、クレームや怒りの電話など、一切の文句はなかった」。

 

こう語るのは、編集長という立場上、めっきり記事を書くことの少なくなったT氏。記者時代は、社会部系の事件も含め、企業のネガティブな話題も数多く取材した。取材拒否を受けることもあった同氏が、広報担当者の取材対応・ブリーフィングの巧拙を語ってくれた。

 

広報担当者に取材を断わられれば、関係者など周辺取材をして記事を書いても、確かに取材拒否をしたわけだから、当の企業は非難・批判は言い難いといったところだ。

 

いっぽう困るのは、広報側から「社長は出せません」「当時者には取材できません」「広報対応はします」といった類の対応が、微妙に難しいとT氏は言う。いざ、広報担当者が取材を受ける段になると「どういったトーンで記事を書くのか」と聞いてくるそうだ。あるいは「発言だけでもみせてほしい」といった打診もあり、記者にとっては悩ましい対応とのこと。

 

では、良くできた広報担当者はどんな対応をするのか。

 

「上手な人は、“レクチャー”と称して、意見交換をして欲しいと提案してくる。社長を取材するにあたり、業界はいまこうなっている、当社はこういう課題を抱えているなど、基本的なことを説明し、取材して欲しいのはこういった点です、と提示してくる。ついつい、話にひきずられてしまい、ペンが鈍る」と、自嘲気味に話す。

 

もうひとつ、記者にとってはとても有り難い取材対応を語ってくれた。

 

バブル崩壊後、ゼネコンの取材に奔走していたころ、ゼネコンのメインバンクを取材したときのことである。取材対応をしたのは広報担当者ではなく、ゼネコン業界に詳しい銀行マンであった。

 

「まず、ゼネコン業界を理解させるために、業界の全体像を解説。もちろん喋っていけないことは当然、口にしないが、ちょっとだけおもしろい情報を提供する。要は、業界関係者が読むと『この記事はそれなりに取材をして書かれている』とわかるヒントをくれる。メディアを喜ばせる手法です」と褒めている。

 

満足感のある取材対応でかつ、興味深い取材原稿が書ける情報を与える、これもまた、広報担当が見習うべき取材対応のひとつである。

 

内容の好悪に関わらず、最低限、広報担当者だけは取材に応じたほういい、とはT氏の助言である。

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メディアへの交渉はスマートがいい ひとつ間違えると、悪い印象しか残らない

メディアへの取材打診。記者発表会への記者の誘致。トップインタビューの依頼。・・・・・・・・。

 

広報担当者としては、1件でも多くの記事を獲得したい。1社でも多く発表会の出席者を増やしたい。担当者の本音ではないだろうか。

 

では、受け手の記者はどうみているのだろうか。

 

女性記者はこう話す。

 

「取材の打診がきたとはきはまず、会社のネームバリューを意識します。記事にして、どれだけのPVをとれるかが、大きな判断材料になります。有名企業でかつ、良い製品でも、PVがどれそうにもないと思えば、断ります」。とは言いつつも、親しい広報担当からのお願いであれば、受けてしまうこともある、と漏らす。

 

ITメディアの編集長は。

 

「うちの媒体の読者を意識し、こういうメッセージを投げかけたい、といったシナリオがあると、好意的に検討する。当然、競合メディアにも交渉していると思うので、こちらの特徴を理解して、取材を打診してほしい」。

 

同氏は別の例もあげる。

 

「たまたま本国からVIPが来日するので、ぜひインタビューしてほしいと、お願いしてくる場合がある。酷いのは、テーマも説明もなく、闇雲にインタビューしてほしいといった、乱暴なパターンもあった。これは稀なケースですけど」。

 

男性記者はこう語る。

 

「外資系のIT企業だが、1週間に数回の記者説明会があり、頻繁に電話がはいったのには閉口した。気持ちはわかるが、勘弁してほしい。テーマが違うとはいえ、記者の手配もあり、一つの企業の説明会に何度も出席はできない」。

 

さらに、似たようなケースを続ける。

 

「たまたま、同じ月に本国からVIPが立て続けに来日し、毎度のようにインタビューを依頼してきた。併せて記者説明会への出席の催促もあり、うんざりした。印象を悪くするので、こういったことは止めたほうがいい」。

 

別の男性記者は。

 

「記事をきちんと読まずに取材を依頼してくる広報担当者がいる。どんな読者に、どういう情報を発信しているのか、ある程度、理解した上で、コンタクトすべきだ。絶対、避けた方がいいのが、同じ編集部内の複数の記者へアプローチすること。断られたので、他の記者に頼もうというのはわかるが、間違いなくマイナスになる」。

 

交渉は難しい。

 

積極さは好意的にとれるが、強引さはひとつ誤ると暴力的な印象を与えかねない。

 

相手あっての交渉である。

 

スマートなメディリレーションを心がけたい。

 

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日頃、何げなく気になっていた疑問を、IT記者に聞いてみた

普段、何げなく気になっていたことを、知り合いのIT記者にぶつけてみた。

以下はそのやりとりである。

 

まずはこちら。

 

取材したが、記事化できなかったケースはあるか。

 

「ある。2つのパターンがある。一つは、あまりにも早い段階で取材をしてしまい、その時点でのストーリーと、実際に原稿を書く段になってのストーリーが大きく食い違うもの。取材相手に非はなく、悪いのはすべてこちら側(記者)にある。謝罪するのみです」。

 

もう一つのパターンとは。

 

「すべて理解し、執筆する内容も決まっているにも関わらず、最後の取材先で、細かいことだけを聞かざるを得ず、誌面に反映できてないパターン」。

このケースもやはりミスは、記者にある。同氏も過去に失敗した経験があるという。

 

続いて、寄稿の条件とは。

 

「テーマについて詳しくかつ、文章が書けること。所属する企業の知名度はまったく関係ない」。が、意外と、文を書ける人が少ないらしい。

 

「テーマはよく熟知しているが、文章が上手くないと、本人(書き手)のもっている知識が全然、伝えきれない。ブログはおもしろいが、かしこまった原稿を書くと、つまらなくなるケースもある」。

 

広報担当から打診されるときもあれば、本人が直接、持ち込むこともある。

 

曰く「本人の持ち込みはけっこう、ハズレる」と。

 

次はプレスリリース。

 

「日々のニュースを取り上げないITの専門メディアにもやはり、プレスリリースは配信したほうがいいのか」と、以前、クライアントの広報担当者から相談されたことがある。理由を説明したが、本人はいまひとつしっくりしていなかった。“掲載”の二文字が頭にあり、目の前の結果に執着している様子が見てとれた。

 

同氏に彼女の疑問をぶつけてみた。

 

「メディアにもよるが、ハウツー色の強いメディアは、プレスリリースを記事化することは少ない。でも、送ったほうがいい」。

 

私見と断りながら、こう説明する

 

「私が知りたいのは、プレスリリースを通じて、どの企業が、いつ、何を発表したかである。編集企画を立てる際に思い出すことがある。個人的には、プレスリリースをまめにチェックはしないが、印象に残ったタイトルは記憶している。本当に必要な場合は、メーラーでキーワード検索をする」。

 

さらに続ける。

 

「まったく時事性のない特集記事を書きあげる際には、プレスリリースは参考にしない。いっぽう、マイナンバーのような時事性の高い、いまをフォーカスする場合はプレスリリースが役立つ。取材先や取材内容を検討するのに非常に助かる」。

 

最後にこう言っていた。

 

「広報担当者はできるだけ、メディアと接する機会をもったほうがいいですよ」と。

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