マスメディアも人からできている。

あなたは、プレスリリースを発行したことがあるだろうか。企業の広報担当者なら、普通に使っていることと思う。ただ、効果については懐疑的な方も多いだろう。

「リリースはうったが、反応はない」

「リリースの効果が見えない」

など、費用対効果に疑問を感じる方が多いのではないだろうか。

最近では特に、webを通じたリリースサービスが安価に利用できることもあり、リリースを乱発する会社も多いので、特に沿う感じる広報担当者によくお会いする。

 

だが、そうやって乱発されたリリースをメディアの読者が見ないのは当たり前である。正確に言えばあれは「記事」ではなく、単なる「リリースの転載」であるし、リリースの転載を単に掲載したところで、単なる紙面を埋める材料にしかならない。

 

読者の興味を引くのはリリースではなく、リリースを見た記者の感情や感想である。メディアの価値は、極端な話そこにしかない。メディアの内部の人間がどう取材し、どう報じたか、どのような意見を持ったのかが知りたくてメディアを覗くのである。

したがって、リリースは単に乱発しても無意味であるばかりか、かえって記者たちの評判を落としてしまいかねない。

 

ではどのようにリリースを打つのか。記事にしてもらうのか。それは「記者に直接アプローチする」ことに尽きる。

記者との人的リレーションを築き、「この広報担当者だったらいつも良いネタを持ってくる」と、記者に納得してもらう草の根運動が必要だ。

ウェブ上に記事をばらまいてもそれはリリースではない。チラシと同じだ。そうではなく、記者にアプローチし、彼らのニーズを満たす。それが必要な行動だ。

 

メディアも、突き詰めれば人からできているのだから。

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文章と深代惇郎

文章は難しい。正しくは、文章を書くのは難しい。

 

プレスリリースを書き上げるのもしかりである。起承転結、5W1H、わかりやすい表現などなど、

お説ご尤もであるが、いざ書きはじめると思い通りにはいかない。あれも言いたい、これも入れたい。

気がつけば、情報のテンコ盛り。迷文のできあがりである。

 

プレスリリースを作るうえで広報担当者が参考にするのは新聞記事だ。新聞記事の構成は“逆ピラミッド”である。結論を先に述べる。リードと呼ばれる前文で全体像を伝え、本文で詳細に触れる。

 

プレスリリースもこの要領で書き上げるといい。

 

しかし、容易くない。

 

タイトルもまた、大切な要素である。インパクトのある表現で読者を引きつけ、一気に読ませないといけない。

 

文を書くのを生業としている記者に読ませるのがプレスリリースである。広報担当者であればやはり、いい文を書きたいという欲がでてもおかしくない。新聞記事がすべてではないが、プレスリリースを書き上げる際の身近な教材の一つである。

 

「どうやったら、いいプレスリリースが書けるようになるか」。

 

「どうすれば、澱みない表現ができるか」。

 

こんな疑問に、何と答えたらいいのか。

 

的を射た言葉が見当たらない。

とどの詰まり、習うより慣れろ。兎に角、“数多く書き抜く”“良書をたくさん読む”といった類の、ありきたりな回答になってしまう。

では何が良書か、と追い打ちをかけられることもある。

薦める一冊がある。

 

いまは亡き朝日新聞の論説委員、深代惇郎氏が記した「天声人語」である。

 

とてもわかりやすい。頭のなかにスッーとイメージが湧いてくる。明快で、リズムがある。内容に普遍性があり、いつの時代に読んでも違和感がない。

 

文章とは,こう書くものなのか、こんなふうに表現できたら最高だろうな、と感じいってしまう。

 

随分と昔に、深代氏が社内でどう評価されているのか、朝日新聞の記者に尋ねたことがある。

 

ひと言、「伝説の記者です」と。

 

文章の素晴らしさ以上に、世の中に警鐘を鳴らし、弱者の傷みを気づかせてくれる、それが深代惇郎氏が遺した「天声人語」のように思えてならない。

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プレス対応とメディアリレーション

「メディアは悪いことを書く、という前提でつきあっている広報担当者は、上手いプレス対応をする。とりわけ、過去に不祥事やトラブルを経験した企業の広報対応は、いろんな意味でノウハウが蓄積されており、メディアというものをよくわかっている」。

 

20年以上にわたり企業を取材し、現在、編集長の任にあるM氏は断言する。

 

不祥事など経験しないにこしたことはないが、人間、成功よりも失敗から学ぶことが多いのだ。

プレス対応の上手さを、M氏はこう語っている。

 

「悪いことをいかに書かせないか。メディアから投げかけられた取材テーマに対して、自分たちの意図をもって取材対象者を選定し、インタビューの方向さえもコントロールしてしまう」。

 

優秀な広報パーソンは、メディアの意図を理解し、記事の仕上がりをもイメージできる、という。いっぽう下手な広報は、細かいことまでメディアに確認し、すべて調整から入ってくるので、時間もかかりロスが多くなる、と指摘する。

 

望み通りにお膳立てされ、あとは敷かれたレールの上を走るだけであれば、確かに楽な取材ができ、メディアにとっては至れり尽くせりである。

 

消費財を扱う企業をウォッチングしている記者も、似たような感想を漏らしている。

 

「日用品を扱っているメーカーの広報は、常に危機管理を意識しているせいか、プレス慣れしていて、対応が上手です。それに比べてB to Bの商材を扱う企業は、一般消費者と遠い位置にあるせいか、どうもプレス対応がぎこちないというか、拙いですね」。

 

M氏はプレス対応とともに、メディアリレーションの大切さも説く。

 

「取り上げられる可能性が低くても、メディアリレーションは継続しかつ、広くしたほうがいい。長い目で見て必ずメリットになる」。危機管理などでは、プラスに働くケースもあるという。

 

同氏の編集部にはIT企業からのブレスリリースや記者発表会の案内などは、ほとんど届かないという。ITの専門メディアでないことも理由のひとつとだが、広報側が自社にメリットがない、取り上げてもらえない、といった自己規制が働いているのではないか。

 

心当たりのある広報パーソンは、鼻から諦めずに一度、試してはどうか。ボクシングのジャブではないが、続けることがのちのち効いてくる。やはり、継続は力なり、である。

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新任広報部長の話

「広報部への異動がおりたときは、すごく嬉しかった」。

 

こう語るのは、この4月に広報部長に就任したY女史である。

 

中途採用から10年。一貫して事業部でのマーケティング畑に身を置いてきた彼女がなぜ、広報部への異動を喜んで受け入れたのか。

 

「人にモノを勧めて理解してもらう、という行為が好きなんです。自画自賛ではないですが、当社は良い製品を数多くもっています。NDA(秘密保持契約)の関係であまり公表できませんが、優れた技術もいっぱいあります。それらを、世の中へ知らしめるつまり、プロモーションできる立場になれたのが、最高です」と、天職を手にしたような口ぶりである。

 

BtoB向けの製品を扱う同社は、業界では実績・知名度もあり、それなりの評価がある。いっぽう業界外に目を向けると、まだまだ認知度は低い。一般の人はもちろん、個人投資家や新聞、雑誌、テレビといったメディアにも知られていない。そんな彼女に、自社の広報活動はどう映っていたのか。

 

「これまで広報の仕事を見ていて、何をやっているのか、というのが正直な印象でした。プレスリリースを配信するぐらいしか記憶がないです」と。

 

では、これからどう広報に取り組んでいくのか。

 

「まずはメディアリレーションの構築です。記者の関心・興味のあるテーマやニュースなどを調べ、メディアに適した情報を提供して、記者との関係づくりから手をつけていきます。一般の人たちに当社が何をしている会社なのかを知ってもらうために、小学生を対象にしたイベントを行うなど、これまでやっていないことにチャレンジします」。

 

この他にも、新製品の記者発表会さらに社長インタビューなど、決して派手さはないが、地に足のついた広報活動をすすめていきたいと抱負を語っている。

 

彼女を広報部長に任命した社長は自社の広報をどうみているのか。

 

「トップはIRへの認識・理解は高いですが、広報についてはまだまだですね。Facebookの立ち上げを打診したのですが、遊びだろう、の一言で一蹴されましたから」。

 

しかし、Y女史はいたって前向きである。実績を積んで、社長に広報の重要性を説いていくと、元気がいい。

 

「うち(会社)の広報かわったよね、と言われたい。そのためにも開かれた広報にしたいです。やりたいこと、やれることは山ほどあるので、前に進むのみです」。

 

広報部とはいえ、彼女と部下の二人だけである。

 

一年後、彼女と会社がどうかわっているのか、楽しみである。

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記者に喜ばれるプレス対応ができているか

プレス対応は広報担当者の大事な仕事のひとつである。記者への対応しだいで、本人はもちろん、自社への印象も大きくかわってくる。

 

記者歴8年のO氏自身がうけた取材依頼への対応を振り返り、こう語っている。

 

「取材申込の電話をし、メールで企画書を送って一週間しても返事がこない。催促しても梨の礫。結局、取材はできませんでした。職業人の素養以前に、社会人としての基本ができていない。まったく話になりません」。以降、同社への関心も減り、取材をしていないという。

 

さまざまな業種の企業を取材するE氏にとって、どんなメディア対応がいいのか。

 

「まずは、迅速な対応ですね。電話取材ではその場で応える。わからなければ、確認して折り返し同日中に回答してくれるなど、的確かつ要領よく。それと社内調整力です。こちらも悪いのですが、漠然としたテーマでインタビューを依頼することがあります。意図を組んで、最適な人を準備してくれると、非常助かります。結果、いい内容の記事になります」。

 

ある記者はこうとも言う。

 

「メディアの性格や位置づけ、どんなメンバーがメディアをつくっているのかなど、内部事情に踏み込んでいるのも一つかなと。ビジネス上だけではなく、どれだけ相手の懐に入り込んで、本音ベースの話しができる関係を築けているかでしょうね」。

 

相手の懐に入るには、それなりに時間を必要とする。ビジネスとプライベートの間の微妙なバランスをつくり、保つには、コミュニケーション以上に人間性もからんでくる気がする。

 

一方、新聞、テレビといった旧来の大手メディアしか相手になしない企業も多く、メディア格差を嘆く記者もいる。

「言葉は悪いですが、昔から付き合いのある新聞やテレビにしか情報を提供しない大手企業もあります。記者発表会の通知を送らないことも多々あります。某IT企業は、フリーランスの取材は受けないし、報道資料も提供しません」。

 

「こういった対応がひょっとして、業績にもつながってくるのではないか・・・」と、同記者は懐疑的に語っている。

 

ぞんざいなプレス対応をしていると、いずれツケが回ってくる。自社が不祥事を起こそうものなら、必要以上に叩かれるやもしれない。

 

特別扱いはする必要はないが、広報の仕事に携わっている以上、プレスへの「公平・公正」な対応を心がけたいものである。

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プレスとの接点をふやす情報提供

中堅・中小企業の広報担当者にプレス対応の業務について聞くと、「プレスリリースの配信」を第一声にする人が多い。プレスリリースの配信は確かに、大事な広報業務の一つである。では他にはどんな施策をしているのか尋ねると、考え込むケースが間間ある。

 

数か月前に、初めてプレスキャラバンを行ったIT企業の広報担当者が、その効果を語っている。

 

「新しいサービスに関するプレスリリースとプレゼン資料を持参して記者を尋ね、新サービスの説明をした。プレスキャラバンをしたことがなかったので、PR代理店に依頼し、プレスリリースの作成、記者への交渉、同行などを依頼しました。産業紙をはじめ、主だったIT系のオンラインメディアに取り上げてもらい、ホームページへのアクセスが2日間で600件、電話の問い合わせも30件近くありました」。

 

社長をはじめ社内での評価も高く、今後も機会があれば、プレスキャラバンをやりたい、と同氏は気をよくしている。記事を広告換算したところ約1000万円近くに達し、プレスキャラバンに費やした金額からして、非常に高い費用対効果になったそうだ。

 

 

プレスリリースは記事化される確率は低い。1日に数百件のプレスリリースが送られてくるので、競争率は非常に高くなる。一方プレスキャラバンは、記者が「ノー」と言わなければ確実にプレスリリースは読まれ、取り上げられる可能性はプレリリースの配信よりはるかに高い。もちろん、100%掲載される保証はないが。ただ手間暇がかかるのが難点といえば難点ではある。

 

プレスキャラバンは時間を必要とするため、記者発表会で対応するケースもあるが、自社の知名度、メディアとのリレーションなどを考慮し、記者の集客力が弱いと判断した際には、他の方法でメディアでの露出を検討したほうがいいだろう。

 

記者発表会を実施して出席が少ないと最悪である。ましてや同日の同じ時間帯に大手の同業社が発表会を行うものなら、記者の出席率はかなり下がってしまう。必然的に記事の掲載はかなり厳しくなる。

 

新しいニュースもなく、トップが話すようなものもない、でも、少しでも自社のことを取り上げてもらいたい、という疑問にはどう応えるか。ある製造業のケースである。

 

「プレスラウンドテーブルというかプレスセミナーというか、記者に情報を提供する機会を設けています。勉強会といっては記者に失礼ですが、当社の事業に関連した市場動向や消費者のトレンドあるいは、製品・技術動向さらに、将来予測などを解説します。講師役はもちろん、社員です」と、広報担当者は得意げに説明する。

 

記事化される度合いは低いが、メディアリレーションを築く一助としておこなっており、出席した記者には喜ばれているそうだ。

 

グローバルカンパニー、大企業ではないので、中堅・中小企業から日々、新しいニュースがでてくるはずがない。

 

広報担当者はニュースのないことを嘆くより、いい意味で情報(ニュース)を創りだす発想に切り替えたほうがよい。新しい発見に出遭えるかもしれない。

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記事のクレーム

メディアにもよるが、原則、被取材者は記事を確認・修正できない、と思ったほうがいい。それを前提でインタビューをうけないと後日、トラブルが生じる場合もある。原稿の確認ができないのであれば、取材を断る企業もある。

理由は簡単で、事実に間違いがないかを確認するだけ、と広報担当は言うが、記事の確認を拒否するメディアは多い。編集権の独立性を守るためである。

 

キャリア9年の記者が、数年前、自身に起きた記事へのクレームをこう振り返る。

 

「異業種に進出するというので、トップインタビューをした。数日後、原稿を確認したいという打診がありました。嫌な予感がしたのですが、事前に見られないのであれば掲載は止めてほしい、という話になり、渋々、見せました。案の定、強い調子で変更を迫ってきましたよ」。

 

広報担当曰く

「確かにこう発言したが、そういう意味で言ったのではない」。

「こういう内容が発表されると、業界での当社の立ち位置が悪くなる」。

「社長はそのような意図で喋ったわけではない。本人も断言している」。

 

翌日、必要以上に手のはいった原稿が戻ってくる。好き放題に赤字をいれてきた。さすがに腹に据えかね、「こんなことは喋っていません。変更は無理です」と、

電話越でドンパチやったそうだ。

 

新春インタビューということもあり、原稿を没にはできず、妥協してどうにか鞘を収めた。不信感だけが残り、その後、同社を取材していないとういう。後味の悪い結末である。

 

同氏ほどではないが、やはりクレームを受けた女性記者の話である。

何度か取材をしたことのある企業だが、たまたまネガティブな出来事を、続けて報道した。記事を見た知り合いの広報担当者から電話がかかってきた。

 

「確かに内容は正しいが、あのような見出しをつけるのですか。わかっているなら、あらかじめ教えてほしかった」と告げられた。内容の変更などは求められなかったが、「どうして」という疑問が残った。

 

「こちらはきちんと取材をしており、先方の広報にも事実を確認していたので手落ちはなかった。上から、釘をさすようにプレッシャーをかけられたのだと思いますよ。サラリーマンですから従わざるをえないでしょう」と女性記者。

 

上司からは「社会的に影響力のある記事だから先方も驚いたのだろう。悪いとこはなにひとつない。気にすることはない」と励まされたそうだ。

 

後日、広報担当者と顔を合わせる機会があったが、この件に触れることはなかった。

 

きちんと事実を知らせてくれるメディア。

 

提灯記事ばかりのメディア。

 

どちらが良質なメディアか。

 

会社にとって。社会にとって。

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トップと広報担当

トップと広報担当者の関係は難しい。

ワンマン社長であればなおさらのことだ。

「社長にインタビューした原稿の確認を、記者から頼まれることがある。うちは社長に見せませんよ。一度、確認を頼んだら、赤字だらけで戻ってきました。記者に返したら、

『お宅の社長はどうなってるんだ。インタビューで話した内容と違うじゃないか』と、怒り心頭でした」。銀行の広報課長の話である。

 

7年間、IT企業2社で広報業務に就いているA氏が、前職の社長の印象をこう話す。

「非常に気難しい、こだわりの強い人でした。プレスリリース1本を仕上げるのに、社長と10回以上のやりとりをしていました。早くて一週間、ひどいときは一か月もかかりました」。

社外へのメッセージに異常に神経を遣い、形容詞ひとつにも執着していたという。

 

プレスリリース同様、自社に関する報道にも目を光らせる。配信したプレスリリースが記事になることがある。社長が書いて欲しい内容が記載されていないと「この記事はどういうことだ」と、幾度となく社長室に呼び出された。反論はおろか説明も弁解も許される雰囲気ではなかったそうだ。「謝るしかなかった」と、A氏。記者の判断で記事がかかれることを認識しいていないのか。明らかに記事と広告を混同している。

この程度は序の口である。記者発表会で想定外の質問や、気に障る質問が飛び出し、発表会の終了後に叱られたことがある。

「どうして質問内容を、事前に、記者にネゴしないんだ」。

以来、A氏は発表会の前に必ず、電話で記者に打診するようになった。

「こういう発表ですので、できましたら、こういった質問をお願いします」と。

一事が万事である。決算発表会の2週間前くらいからは、発表資料の作成で連日、最終電車での帰宅となり、徹夜仕事もあったという。

 

こういった社長の下で働くには、心身ともに相当タフでないとやりきれない。広報担当者の在職期間は長くて2年、短いと1年以内で会社を離れていった。しかしA氏は、4年間も在籍していた。

「他社の広報担当者と話をしていても、私はかなり特殊な会社にいる、という思いでした。ただ、目的もあり、社長は、根は悪い人ではなかったので・・・・」と理由を説明する。

もう10年以上も前だが、化学メーカーの広報担当役員が、広報担当者の役割をこう説いていた。

「広報担当とは、半身は会社に身を置き、半身は世の中に身を置く。社会の常識と会社の常識を照らし合わす。バランスが大切です。ここぞという時には、トップに苦言を呈する覚悟が必要です」。

 

「裸の王様」と言える勇気があるか。

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記者とプレスリリース

「昔は各社とも製品やソリューションが少なく、世の中に訴えるメッセージも非常にシンプルでわかりやすかった。いまは製品やサービスも増え、十分に消化しきれないまま、メディアに情報を投げかけている印象がある」。

20年以上にわたってIT業界を取材し続けているIT系メディアの編集長・K氏はこう語る。

 

では、企業が発信するプレスリリース、K氏にはどう映っているのか。

「プレスリリースを隅から隅まで読んでも何を言いたいのかわからない。この手のプレスリリースが外資系のIT企業で比較的、目にすることが多い。結局、本国の英文リリースに当ってみると理解できる、ということがある。日本法人の役割はなんなのか、と思いますね」と、手厳しい。

外資系の場合、本国できちんとリリースが作られ、日本サイドは翻訳するのみで、ほとんど手を加えることはない。翻訳者の力量にもよるが、確かにわかりにくいものが多い。

 

「読んでいて疲れるのは、単に‘あれもできる’‘これもできる’‘これに対応した’など、やたら機能を羅列したものです。確かに事実を書いているが、製品・サービスをだす理由、どんな問題を解決してくれるか、といった本質的な点がスッポリぬけている」。この種のプレスリリースが取り上げられる可能性は低い、とK氏は指摘する。

 

さらに「エンドースをずらずら並べたものがあるが、プレスリリースの本質からしたら必要ない。メディアにとって意味はない」と、にべも無い。ある新聞記者は「コメントが必要であれば、電話取材で直接、聞き取ります。エンドースなんてまったく必要ないですね」と、批判的である。

 

メディアには1日に数百本というプレスリリースが送られてくる。限られた時間内で目を通すわけで、自ずとすべてのリリースは見ない。いかに、記者に興味をもたせるか。そこが広報担当者の腕の見せ所である。どうしたら、プレスリリースを読むのか。

「プレスリリースをざっと見るときに、発信元、会社名を確認して、広報担当者の顔が思い浮かぶと、読みますね」とは、K氏の弁。日々のメディアリレーションの重要性に気づかされる言葉である。

 

プレスリリースを書くとき、配信するとき、広報担当者は記者の顔を思い浮かべることがあるだろうか。

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マーケティングとは何か。

マーケティングとは何か。この問いに答えることは簡単ではない。

企業のマーケティング部門に勤務する方々ですら、マーケティングとは?と聞かれれば、販促や、Webサイト作成のイメージをお持ちの方も多いだろう。

 

マーケティングの第一人者と言われる、フィリップ・コトラーは、マーケティングを

「マーケティングとは,価値を創造し,提供し,他の人々と交換することを通じて,個人や組織が必要(ニーズ)とし欲求(ウォンツ)を満たすことを意図する社会的,経営的活動である」

と定義している。

 

また、「マネジメントの父」と言われるピーター・ドラッカーは、マーケティングを

「顧客からスタートすること」と定義する。

 

いずれの定義も「販促活動」ではない。彼らの共通する主張は、いずれも「顧客」を把握し、そこからマーケットへ向かう、という極めて当たり前の活動を述べていることだ。

ピーター・ドラッカーは、これについてもう少し深く考察しており、

「企業の目的は、2つしか無い。マーケティングと、イノベーションである。その他の活動は、全てコストである」と言い切っている。

 

つまり、企業にとってマーケティングは根幹の活動であり、もっとも重視すべき活動の一つということだ。

 

PRや、広告は「マーケティング」ではない。

マーケティングに必要な活動の一つ、とでも位置づけておいたほうが良いものである。

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